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トーヨータイヤが物流業界の未来を創る、小型トラック用リブタイヤ2種類を発売

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トーヨータイヤが物流業界の未来を創る、小型トラック用リブタイヤ2種類を発売

TOYO TIRE(トーヨータイヤ)が新しい小型トラック用のタイヤ「DELVEX M135」「NANOENERGY M151 EV」の2製品を発売した。2024年問題をはじめとした、近年の物流業界を取り巻く環境に対処する性能と機能を兼ね備えたタイヤだ。

物流業界の課題となる“2024年問題”への対応、タイヤの技術開発によって解決
報道関係者向けの記者発表では、近年のトラック・バス業界を取り巻く環境の変化の説明からスタートした。はじめに登壇したのは、TOYO TIRE 技術開発本部長を務める水谷 保氏。近年ニュースでも取り上げられることが多い、2024年問題について語られた。

トーヨータイヤが耐摩耗性能と低燃費性能を両立した小型トラック用リブタイヤ「DELVEX M135」を発売

まずはドライバーの時間外労働上限規制などによって、物流の労働力が不足する。すなわちドライバー不足することとなり、今後は比較的経験値の浅いドライバーの運転機会が増えると考えられる。加えてゲリラ豪雨や突然の大雪など、近年の気性の変化も新商品開発のきっかけになっているとのことだ。

それらの“困りごと”から生まれた新商品開発では、ベテランドライバーのみならず誰もが安心して運転できるタイヤであること、ウェット性能などもこれまで以上の性能を備えていることなど、時代に即した性能を強化したタイヤ開発が強調された。

そんな新製品開発の裏付けとなるのが、同社が誇る世界のR&D機能だという点も強調された。TOYO TIREでは日本、欧州、北米にそれぞれR&D拠点を持ち、日本ではシミュレーション技術、欧州では材料開発、北米では次世代技術開発を主に担当する。それぞれの得意分野を生かした技術開発が行われていることが同社の強みである。

今回発表された小型トラック用のタイヤにも、それぞれの強みを込めた高い競争力を持った技術が投入されているのだ。またバーチャル開発と呼ばれる手法も実施。試作から性能検証をバーチャル上で行うことで、開発期間を短く&効率化しているのも同社の特徴的な取組みだ。

そして先進の開発環境を整えるTOYO TIREが同日に発表したのが、小型トラック用リブタイヤである「DELVEX M135」(デルベックス)と小型EVトラック専用リブタイヤ「NANOENERGY M151 EV」(ナノエナジー)の2モデル。製品の技術説明は、商品企画本部 生産財商品企画部長 杉本 裕昭氏と技術開発本部 TBタイヤ開発部 藤岡 剛史氏が登壇した。

「DELVEX M135」はグリップだけでなく、燃費・摩耗・ウェット性能を向上
まず小型トラック用リブタイヤ「DELVEX M135」は、小口配送で用いる小型トラックに向けたタイヤとして開発されたモデル。開発背景にあったのは、未経験のドライバーでも高い安全性を確保できる性能を備えており、ウェット路面での性能もそのひとつ。もちろん低燃費であることや摩耗性能に優れている点は従来モデル以上の性能を備えているのがベースとなる。

特に小口配送はストップ&ゴーの多い使用環境で、摩耗に厳しい点が指摘されることも多い。さらにこの手の配送では配送拠点で荷物を満載して出発するが配送していく中で徐々に積み荷が減り、車両総重量が軽くなるという車体の“軽重”が起こるのも特徴。これによってタイヤの路面への接地面積の変化による走行性能への影響が起きる点も問題視されてきた。

そこでDELVEX M135の開発では、トレッドパターン開発によって燃費/摩耗/ウェット性能を高めた点が強調された。上述の通り、積み荷の重さの変化がタイヤの接地面積を変化させ、ウェット路面での性能を低下させることになる。そこで新開発したトレッドパターンではワイドセンターエリアと呼ばれるセンター部の接地面積を増やし、積車時(重い)から空車時(軽い)までで安定した高いグリップ力を確保した。

続いて説明された“耐摩耗LTコンパウンド”の採用も、同モデルの大きな特徴。その名の通り摩耗性能に優れたコンパウンドだ。メカニズムは従来のポリマーに比べて枝分かれを少なくした耐摩耗ポリマーを採用し、ポリマーの変形による切れを抑えたことで耐摩耗性能を向上。さらに小粒径耐摩耗カーボンは従来のカーボンよりも小径化することで、ポリマーとの接点を増やし耐摩耗性能を向上させている。

トレードオフの関係にありがちな低燃費性能、ウェット性能を維持しながら耐摩耗性能を両立させたのは、このような新素材の開発・導入があったからこそなのだ。

耐摩耗性能では、従来モデル比で32%向上、転がり抵抗は16%低減、路面への接地面積も空車時で3%、積車時で6%の拡大化を実現するなど、目的としたすべての分野で従来モデルを越える性能を備えた。

次世代の小型EVトラック市場に向けて「NANOENERGY M151 EV」を投入

次に小型EVトラック専用リブタイヤ「NANOENERGY M151 EV」(ナノエナジー)について説明された。こちらは三菱ふそうがラインアップする、日本初の量産小型EVトラック『eキャンター』をメインターゲットに、小型EVトラック向けに開発されたタイヤだ。今後小型EVトラックの増加が見込まれる中、専用タイヤをいち早く開発することで業界をリードすることも同製品の狙いである。

小型EVトラックのタイヤに求められる性能は、ICEモデルと比較してもさらに多い。1回の充電で走行距離を稼ぐために電費性能は必須、加えて大トルク/回生ブレーキによりタイヤの摩耗には厳しい環境だ。さらにバッテリーによる重量増もタイヤへの負担が大きく、それらに対応できる製品として開発された。

最初に注目したのは、非対称パターンの採用だ。周方向にパターンが伸びるリブパターンは電費性能の高さや剛性/耐摩耗性能の高さを備える一方、細かなブロックを持つブロックパターンはエッジ要素が多いためトラクション性能/グリップ性能に優れるのが特徴だ。

両者の良いところを取り入れたのが、この非対称パターンである。偏摩耗しやすいサイドにはリブパターンを、トラクションの必要な部分にはブロックパターンが採用された。小型EVトラックに求められる性能を、高いレベルで満たすことができる非対称パターンはそんな工夫から生まれたのだ。

さらに素材で注目したのは、ナノバランステクノロジーを活用した“耐摩耗NCP”(ナノコンポジットパリマー)の配合だ。従来の製造過程では固形のゴムに対して充填剤(粉体)を混ぜていたが、NCPでは液体のゴムに対して液状の充填剤(フィラー)を加えて撹拌することでより均一に混ぜることができるようになった。

その結果、含まれるフィラーの高分散化を実現。フィラー同士が接触することで起こるエネルギーロスを抑えることで、電費性能と耐摩耗性能を高めることに成功している。

それらの開発の結果、摩耗ライフでは従来モデルに対して21%向上、転がり抵抗は2%の低減(従来モデル=転がり抵抗で有利なリブタイヤよりも高い性能となった)を実現した。今後ますます加速していくことが予想される小型トラックのEV化、そんなEVトラックに求められる一歩先行く技術が込められていると確認できた。

TOYO TIREの小型トラック用リブタイヤ2製品は、いずれも新技術/新材料の採用で新しい時代のトラックタイヤを感じさせる性能に仕上がっていた。変革期にある流通業界を支える、頼りになる新製品の誕生となった。

土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。

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